料理を作るのも食べるのもひとしごとです

カルチョーフィ

夜は昨日のにんにくの香りが部屋中に漂い、なかなか眠れなかった。起きてコーヒーを飲む。ママに朝食は?って聞かれるケド、今日のランチがすごいことはわかっているから食べない。ママも食べない。そのまま二人でまずはパスタ作りから開始。
300gの小麦粉に3個の卵と塩を加えてミキサーで混ぜる。取り出したものに粉を加えて調節しながらこねていく。これを6回繰り返して、ほぼ2kg分の小麦粉と18個の卵で出来上がるのがラビオリとタリアテッレの生地。
パスタ作りは何度もやっているから結構得意な私。でも昨日の野菜切りで手首が痛かったので結構しんどい。途中でママに手伝ってもらうと、力強さが違ってあっと言う間に生地が出来上がる。私もあそこまで早く到達したい。
これを30分ほどねかしてから、小さく切り、一つ一つパスタマシーンで丁寧に延ばす。きれいに延びたら、大さじ二杯くらいの昨日用意したチーズを入れてもう一枚のパスタを重ね、ラビオリの型で抜く。でかいし、具はいっぱいいっぱい。これを一人あたり平均6個作るという。2歳のジュリアまで数に入れている。全部で70個くらい。とにかく大変で、二人で交替しながら作る。途中で起きてきたホームステイの男の子にも手伝ってもらってやっと完成。その後は残った生地をタリアテッレにしてパスタ作りはほぼ完成。
このパスタに使うソースは昨日からママが煮ている大量のラグー。私がお昼寝している間に作っていたからレシピは聞けなかったケド、牛肉にゆで卵などを巻いたでかいお肉が入っていた。卵はパスクアの象徴。お肉を入れたラグーはまろやかでコクが出るから私は大好き。
それからサラダを完成させ、付け合わせに食べるピセッリを煮る。これは簡単。オリーブオイルでパンチェッタを炒めて香りを出したら、冷凍ピセッリを加えて白ワイン少しと水を2,3カップ加えて煮るだけ。私の大好物。
次は山羊の頭。いよいよ登場。まつ毛も唇も全部ついている…。ママと二人でそれらを取り除いてした処理。これはオリーブオイル、ニンニクを炒めたところに入れて水を加え、パセリを加えて蓋をしてとにかく長時間煮る。
これらの料理をしている間、屋上では炭火起こし。これもホームステイの男の子ががんばっている。快晴だったから日差しが強く、私は日焼け止めたっぷり、帽子が必須。彼は平気らしい。炭火の上に昨日のカルチョーフィにオイル漬けの香草を詰めて置いていく。でも日が熱くてうまく置けない。と、ママが来て手でぐいぐい詰めていく。どこの国のママも、熱さに強いのは一緒。お母さんの強さっていう感じがして私が好きなことの一つ。
だんだんお客さんたちが集まり始め、家の中が騒がしくなる。オーブンでは山羊の肉と豚肉の串焼きを焼き、キッチンではママのお兄さんが大量のサラミを切る。これをゆで卵と一緒に食べるのがパスクアの前菜らしい。
そうこうする間にジュリアが到着。前は赤ちゃんだったのに、女の子になってる!歩いてるし喋っている。私のことを「マイ」って呼んでくれるケド、たまに「マイヤ」になる。私のカメラのことは、「ディ マイ(まいの)」とは言えず、「イマイ」になる。かわいい…。
かなりの時間を要してカルチョーフィが焼きあがり、2時ごろ全員が揃ってパーティ開始。ちなみにテーブルも、近所の人に借りた拡張テーブルセットででかくなっている。このセットは、テーブルの上に載せる大きな板と足で出来ていて、テーブルの上にテーブルを重ねた感じになる。

パーティの始まりは、サラミとゆで卵。サラミはかなり美味しいのだけれど、後が恐くて食べられない。隣にいるジュリアはパパに小さく切ってもらったものをパクパク食べている。切るのが間に合わないとせかす。私も切ってお皿に入れてあげると、嬉しそうにフォークでさして食べる。食べる量が多いのは相変わらずだ。
次はラビオリ。私には4つ。これでもすごいボリューム。となりのジュリアには二つ。でもリコッタが苦手だったようで、次のタリアテッレを食べる彼女。パパが小さく切ってあげようとするのに、このままがいいと制止する。でもフォークで巻けるはずもなく、あちこちに飛び散ってめちゃくちゃ。それでもおいしそうに食べ続けている。さすがはジュリア。

パスタの後は、そのラグーに入っていた牛肉。またまたゆで卵入り。お腹は既にいっぱいだから、私は小さい一切れ。でもこれ、かなり美味しい。もう一つ食べたくなるけど、山羊があるから我慢です。だけど付け合せのピセッリだけはたっぷり。大好きだし、塩気の多い料理にこの甘みは箸休めになるのです。
次は山羊の頭が出て来た。脳みそのところを食べろと言われて食べる。甘くてトロリ。レバーみたいで美味しい。でもこれは食べる人が殆どいない。みんな結構苦手らしい…。私がいなかったらママも料理しなかったのかも。

それから豚肉や山羊肉が出て来た。もうお腹いっぱいで食べられないケド、山羊を一つだけ食べる。それからサラダ。そして最後に炭火焼のカルチョーフィ。これは一つがかなり大きい。もう喉まで食べ物が詰まっている感じだったけど、食べたい気持ちには勝てない。だってママのお兄さんが、これは天国の食べ物だと言われているって教えてくれたんだもの。
ニンニクの香りたっぷりのカルチョーフィは、確かに絶品。炭火で焼いているからとても香ばしくて、中に詰まったニンニクやオリーブオイルの香りがしっかり染み渡っている。カルチョーフィ自体も甘みがあって美味しい。食べたことの無い味。お惣菜屋さんで買ったオイル漬けとは全然違う。パクパク食べてしまった。
やっと料理が終わった…と思ったら、ケーキが待っていた。結構美味しくて一切れペロリ。でももう本当にお腹いっぱいでぐったり。でもみんなは結構元気。今日と明日はイタリアの首相の選挙だから、選挙の話が盛り上がり始める。途中でジュリアが昼寝を始めたので、話に入れない私はそっちで一緒にお昼寝。1年前も同じベッドで同じようにパーティの後でお昼寝したもんだ。…って、彼女は覚えていないんだろうけど、かわいい寝顔を見ながら一人で満足。
ママも夕方はちょっと昼寝。最後に子供達が帰っていくときには、一人淋しくなってごねるママ。皆がいっせいにいなくなっちゃうのは確かに淋しい。私もジュリアやジュゼッペ(ジュリアの弟)とのお別れはちょっと淋しい。階段を降りながらジュリアが言うバイバイがまたちょっと淋しい気分にさせてくれる…。

パーティの後、ママは選挙に。見に来るか?って言われたケド、もう疲れてぐったり、さっぱり動けずお留守番。明日の朝サレルノを出てペルージャに行くバスに乗るから、準備もしなきゃなのだ。今回のサレルノ最後の夜。選挙から帰ってきたママと喋っていたらだんだん私も淋しくなってきてしまった。