ナポリへ

今日はママの友達アレッサンドラがナポリを案内してくれた。日本人の友達と二人でプルマンでナポリへ。ナポリの駅は恐いから、電車で来るよりプルマンの終点で降りた方がいいって言われたのだ。確かにその通り。ナポリの駅はいつ行っても恐い。
アレッサンドラは一緒に住んでいる彼、マルコと車で迎えに来てくれた。ナポリサレルノみたいに小さな町じゃないから、車があった方が便利なのだ。渋滞もそれはすごいものだけど。まず、町の中心に行って車を停める。駐車場なんて無くてみんな路駐なんだけど、少しもスペースが無い。ウロウロ探した挙句、道路を自分の駐車場かのようにしてお金を稼ぐお兄ちゃんがいるところでやっと停めることが出来た。公共の道路で、勝手に車を先導してお金を取るのだ。こんな商売が成り立つ所がすごい。
初めに行った博物館(サンセヴェーロ礼拝堂)で、ずっとガイドブックで眺めてたモノを見た!ベールのかかったキリストの像。キリストの像全体に本当に薄いベールがかかってるみたいなのだ。その下の指や閉じた目が、本当にベールの下にあるみたいに見えて、うっすらと透けているような気さえする。別に女の人の像があってそれも薄いベールをまとってるんだけど、これまたうっすらと中が透けて見える気がする。今でもどうやって作ったかはわからないらしい。イタリアで博物館に行くたびに思うんだけど、ガラスケースに入ってない所がすごい。日本は全部ケースの中だけど、ここではホントに真近くで見ることが出来るのだ。それで壊れることも多いんだろうけど、間近に見られる方がやっぱり良く見える。
その後、クリスマスに飾るプレゼピオ(人形)を売ってるお店が沢山並ぶ通りに連れて行ってくれた。狭い通りだから12月には歩けなくなるって言う。クリスマスには木の皮で作る家の模型の中に、この人形たちを飾るのだ。外の家の部分は手作りで数十万円以上するらしい。中の人形も全部手作り。小さいのは数ユーロで売っていて私も一つ買ってきた。
それと並んでいろんな形のキーホルダーを売っていた。形が独特。これはナポリ独特の幸せをもたらすお守りらしい。でも自分で買ったら意味が無いって、アレッサンドラが私と友達に買ってくれたから、私達hアレッサンドラとマルコに買ってあげた。これで4人とも幸せになれる?といいな。
その後ここが美味しい!って言うピザ屋に連れて行ってもらった。小さなピザ屋は、とにかく人で溢れかえっている。1階と2階に席がたっぷりあるのに、入れない人達で前の通りはいっぱい。私たちも名前を告げて並ぶ。持ち帰りで買って行く人ももちろん沢山。待っている間に見てたらこれまたすごく楽しかった。まず初めて見たのが揚げピザ。ピザ生地の中にチーズ、ハムを包んだものを揚げるのだ。すっごくいい香りがする。
3種類のコロッケを皆で分けて、ピザを一人一つずつオーダー。私達日本人は水、彼らはコーラ。ピザにはコーラが合うっていうんだけど、これは信じられない。。。コロッケは3種類。ジャガイモとチーズ、ライスコロッケ、パスタのコロッケ。どれもとっても美味しい。でもでっかい。食べ終わった時には既に腹八分目状態。その後ピザが来る。これが…でかすぎる。でっかいお皿からはみ出しているのだ。
私は先に見た揚げピザ。すごく香ばしくて美味しかった。中にチーズの香りが閉じ込められてる。生地は揚げてあるから焼いたピザとは風味が違うケド、もちもち感と香ばしさは同じ。どっちが好きかって言われるとやっぱり焼いたピザだけど、これもたまにはいいかなって感じ。でもさすがに全部は食べられない。マルコに無理矢理分けてあげてもやっと半分。マルコ以外は全員残してしまった。うぅぅ、もったいない。
次は教会と博物館(サンタキアラ教会)へ。ここの庭、マジョリカ焼きがいっぱいですっごくきれい。タイルで飾られた柱が庭にいっぱい立ってて、それと沢山植えてあるレモンやみかんの木がさわやかな雰囲気をかもし出しているのだ。落ち着いて休憩したらいいんだけど、見るものがいっぱいあるからそうも行かない。歩き続け、喋り続ける。
この辺りで皆もうぐったりしてきた。朝車を停めてからずっと歩きつづけなのだ。アレッサンドラは修復の勉強をしてる人だけあってとっても詳しく説明してくれるから、一つ一つ時間がかかるのだ。でも興味深いから聞きたくなる。この繰り返しで、さすがに皆ぐったり。しかも今日はとっても暑かったし。皆の口数どんどん減ってきたところで、彼女達が暮らす家へと車で向かう。
彼女達が住んでいるのはヴォメロの丘っていう地域。ナポリの高級住宅街。さっきまで歩いてた中心部は車の音、パトカーの音でとにかく騒々しくて仕方なかったケド、丘を上がるにつれて静かになる。彼女達のマンションの入口には門まである。中は静寂そのもの。中心部に前は住んでいたアレッサンドラは、ここの静けさをとにかく強調する。
玄関を入ると犬の声。生まれて6ヶ月の犬を飼っているのだ。名前はマイヤ。私の名前と似ている。朝からずっと一人だったから淋しかったみたいでとにかく二人に飛びつく。なでてあげるとすぐにお腹を見せる可愛い子だった。
玄関入ってすぐに居間がある。ここがとっても素敵。落ち着いたアンティークの家具が沢山と、素敵な絵が壁にいっぱい。小さな銀のオブジェがテーブルに並んでいたり、アンティークのお皿が飾ってあったり。中の幾つかは本当に古いものだし、幾つかは彼女が新しい家具を買ってきて自分でアンティーク調にしたもの。すごい。飾り方もとてもおしゃれ。それからキッチン、ブルーが素敵な洗面所、猫のオブジェがいっぱい飾ってある部屋、寝室、コンピュータが置いてある部屋。二人でこんな家に住んでるなんてとってもうらやましい…。
マンションの下の階に彼女の仕事場があってそこも見せて貰った。ここにも彼女の作品が沢山。クリスマス前に仲間と市を開いて売るらしい。少しだけ休憩した後、今度は犬を連れて丘の上へ。ナポリの町が一望できるのだ。残念ながら夕方で霧が出てきていたからあんまり良く見えなかったケド、それでも素敵な眺めだった。それからジェラテリアへ。彼女がここのジェラートが一番って太鼓判を押すお店。これまた昼のピザ屋みたいに沢山の人で溢れている。クリーミーなレモンのジェラートがとっても美味しかった。
最後はバス停まで送ってくれたんだけど、何だか遠回りしてる。何かと思ったら、ルンゴマーレっていう海沿いの道を通ってくれたのだ。景色がいいし、卵城を通る。渋滞だらけだし、二人とも疲れてるのに最後までとっても優しい。大体、ランチもジェラートもご馳走してくれたのだ。私達は何にもお返し出来てない。…二人でどうしよう?って話すケド、何も思いつかないままバス停に。ここでもバスが来るまで一緒に待ってくれた。
自分達だけで来ていたら見れなかったものを沢山見て食べて、彼女達の家にも連れて行ってくれた。私とは前に一度会っただけだし、私は勝手に友達を一人連れていってしまった。朝からアレッサンドラは調子が悪かったのに、歩いてる間はずっと平気よって言って案内してくれた。どうやって感謝していいのか、さっぱりわからない。でも来週木曜日に家に来るから、そのときは私がから揚げを作ってあげる約束をした。彼女は鶏肉が好きらしいのだ。…これくらいしか出来ないのが悲しい。
というわけで素敵な素敵な一日だった。友達も喜んでくれた。帰ってママに楽しかったって報告したらママも喜んでくれた。大体、ママとアレッサンドラは知り合って1年なのに、ママはまだ彼女の家に行ったことが無い。あなたはすごい!って言われてしまった。
そう、今日一緒だった日本人の友達にも言われたケド、私のこの図々しさ、すぐに勝手に友達になっちゃう性格、すごいみたい。初めはホームステイをしてるからよって思ってたんだけど、ホームステイをしてる人が皆こうな訳じゃない。学校の生徒は学校の生徒と一緒に過ごしていることが多いのだ。でもそれじゃあここで生活している意味が無いから、私は出来るだけイタリア人と出歩きたい。知り合いたい。で、チャンスがあれば出かけて行くんだけど…これ、皆に出来ることじゃないみたいだ。だからママや周りのいろんな人にすごいって言われる。すごいのかどうかは良くわからないけど、私としてはとっても得をしてると思う。沢山のかけがえの無い出会いを大事にしなきゃ、ここにこうやって一人で来た意味が無いんだもの。