チンクエテッレのさらに先…

ラ・スペーツィアという町に出かけた。ここに一軒のアグリツーリズモがあり、そこの人が駅まで迎えに来てくれることになっていたのだ。この隣の町から5つ続く町がチンクエテッレ。ジェノバからの電車から見える海はとてもきれいで、たくさんの人が海水浴をしていた。
駅におじちゃんが迎えに来てくれていて、宿に着くまで町のこと、チンクエテッレのこと、アグリツーリズモのこと、色々教えてくれた。ここ、「La locanda del papa」という名前で、パパの場所っていう意味なのだけれど、このパパの意味は、父親(パパー)ではなく、法王(パーパ)(アクセントの位置が違うのです)。昔は宿所で馬や人を泊めていたらしく、ローマ法王がフランスに出かけるときに泊まっていたっていう。このおじちゃん自身もパーパで、町の実力者らしい。
夕食は?って聞いたら、今日は作りたくないからレストランだと言われてしまった。アグリで食べるのが目的だったのにって言ったら、任せておけ、とにかく旨いところに連れて行くという。このおじちゃん、旅行大好きで、食には特にうるさいらしい。二人で相談した結果、イタリアではこの町が発祥だというムール貝を食べることに決めた。ここではムスコリ(筋肉)と呼ぶらしい。ちゃんとレストランに電話して、今日ムスコリがあるかどうかまで確認してくれた。

まずは宿に着いてチェックイン。広くてかわいい部屋でシャワーも広く、ベッドも気持ちいい。荷物を置いて外を眺めていたら、下の畑にひなたぼっこ中のねこを発見。私に気づいて、こっちに向かってニャーニャー鳴きはじめ、だんだん寄ってくる。でもこっちは2階。建物の下までしか来れない。どうするのかと思ったら、建物の裏側に行ってしまった。気になって部屋を出て降りてみたら…階段下で私を待っていた。
とても人なつっこいねこで、階段を降りた私によじ登ってきた。歩けばついてきて、止まると体によじ登る。ちょっと散歩に出かけたら、私の前を歩いたり後を付いてきたり、とにかくずっと一緒。一人で散歩するより何倍も楽しかった。おじちゃんに連れて帰っていいよといわれたけど、この自然の中にいるのが一番幸せそうで、日本になんて連れていけません。